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2009年2月 4日 (水)

楽器の音の評価 ・・・(1)

           永井洋平     (2004.3.13) 
                                     
(前回のメッセージでは初期の管楽器の開発過程を述べその中で重要事項のひとつに評価力があることを述べた。今回はその続きの話をしてみよう。)

楽器の改良する仕事は、ある着眼や発想に基づいて試作品を作る段階がある。試作品が従来品と比べて改善されたのか、残念ながら却って改悪されてしまったのか、同じなのか、どのくらいどの性質が変わったかなどをきちんと評価せねばならない。評価が出来ないことには仕事は完結しない、つまり目的を達成しないといっても良い。

しかし実際に経験することはこの評価段階でのつまづきが多い。つまり十分な評価をせぬままその仕事は終わったということにしてしまっている。経営的に見れば研究費がもったいないのだが、たいがいの場合は社内にそれを追求出来る目と権限を持つ人がいないので見過ごされて表にはでないという実態であろう。

最善の評価を考えるにあたり、まず銘記すべきことは評価をするのは機械ではなく人間であるということを知らねばならない。

楽器が出力する音楽がどのくらい良いか、つまりその楽器の音の良さは機械による測定ではなく人間が耳で聞いた結果で決めることには誰も異論はなかろう。測定データから良い音のハズであることが推定されることはあり得るが、最終的には人が良かったと思う音が良い音なのだ。確かに機械は評価に関しては決定権を持たない。一方、測定器としての人間にも大きな弱みがあることは看過できない。

人間の弱みとは何だろうか。まず、好みの個人差がある。Aさんが良いと評価したものがBさんやCさんにとっても同様に良いという結果がいつも得られるとは限らない。さらに評価分解能の個人差がある。AさんとBさんがが評価対象のXとYの間に違いを見出せない、或いは無視し得る程度の差しかないとしてもCさんにはXとY間に大きな違いがあると評価するかも知れない。また同じ人間でも安定性に欠ける。つまり、本日の評価をした人間が体調や気分が変わったときに、同じテストを後日行ったときに同じ結果を再び出すとは限らない。先に人間だけが評価が出来ると述べたが、実は人間には欠点だらけなのだ。(次回に続く)

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